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嗚呼!ジャンヌ・モロー(2005.07.08) [フランス映画]

夏風邪が抜けずグズグズと自宅でレポートと格闘していると、BSで「アクターズ・スタジオ・インタビュー」にジャンヌ・モローが出るというので観る。女優がこのシリーズに出たのは確かジュリア・ロバーツとシャロン・ストーンしか観たことないのだが、年を取ってしまった女優さんを観るのはやはり若い頃が綺麗であればあるほどやはり物悲しいものがある・・。特にシャロン・ストーンなんて老けてしまったというよりは、最盛期のオーラみたいなものがなくて物寂しい気がしたものだ・・実際に老けたとか皺ができたというよりも、本人の心持ちの問題なのかもしれないなぁ、などとぐちゃぐちゃと考えていると、早速モローが登場。うわっ、とびっくりする。美しい。全然衰えた印象がない。カトリーヌ・ドヌーブのように不自然なほど皺がないというわけではなく、適度に皺もあるし、以前ほど体型も細くはないのに。何が理由なのだろうと観察したところ、髪形が年寄りじみていなくて華やかなのと、時折見せる笑顔が煌びやかな印象を作っていることを発見する。そして何よりも目の光。彼女の知性と因習を打ち破る強い意志が現れた強い目の光、それは若い頃と全く変わらない。
 それは勿論話ぶりにも現れていて、インタビュアーのセクハラまがいの突っ込み(モローの反応を見たいがための意図的なものだろうけれど)にも怯むことなくしかもユーモアをもって切り返していくところはさすが。こんなに知性的で強かったら結婚生活なんて続かないよ、なんて余計なことを考えてしまう。今回のインタビューではトリュフォーやルイ・マルなど若い頃に出演した監督たちの話というよりは(ロージーの話なんて聞きたかったものだが)、インタビューが行われた当時公開が近かった『デュラス 愛の最終章』についての話がメインで、印象的だった。『デュラス 愛の最終章』はモローがヤン・アンドレアの「M.D」を読んで映画化したいと思ったということ。役作りに関しては実際のデュラスというよりも、本の中のデュラスの世界を体現するように演じたということ。とても納得がいった。デュラスの本の世界がよく現れていると思ったのだ。そして、でも同時にこの老女はデュラスではないと思った。ジャンヌ・モローだ。アルコール中毒にならざるを得なかった脆弱性があの映画のデュラスにはほとんど感じられなかった。あくまでジャンヌ・モローの演じるデュラスになったこと。それはあの映画にとっては欠点だったかもしれない。しかしジャンヌ・モローという女優はそもそもそんな女優だったのかもしれない。どんな役柄でも「ジャンヌ・モローの演じる・・」と枕詞がついてしまうこと。だからこそ彼女の演じる女は、あんなにもスクリーンで煌きを放っていたのかもしれない。
 結婚生活は続かないかも知れないが、年を取ってもこんなにも美しくいられるのなら、知性的で強いのも悪いことではないのかもしれない・・。デュラスの本を枕元に置いて、少し孤独かもしれないけれど、年老いても自然体で、仕事に関わって・・。あーなんだかパリに行きたくなってきちゃったな。

マルグリット・デュラス―閉ざされた扉

マルグリット・デュラス―閉ざされた扉

  • 作者: ヤン アンドレア
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1993/05
  • メディア: 単行本


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コメント 5

ななひつじ

はじめまして。ルイ・マルやデュラスが気になってるので興味深く記事を読ませて頂きました。デュラスの本は勿論、映画も全部見たいと思っているのですが手に入れるのも中々難しそうで。。。。『デュラス 愛の最終章』観るのを楽しみにしています。
by ななひつじ (2005-09-25 22:57) 

miyukinatsu

はじめまして。デュラスはいいですよねぇ。http://www014.upp.so-net.ne.jp/miyukinatsu/diary/2002/02_12_a.htmlにヤン・アンドレアに質問したこと等書かせて頂いてますので宜しければご参照ください。
デュラスの映画を日仏学院で特集上映したのは確か1998年だったかと思います。そろそろまたやってくれてもいいですよね。
by miyukinatsu (2005-09-26 11:21) 

ななひつじ

HPの記事、読ませて頂き、デュラスの映画を益々見たくなりました(^^)
デュラスの映画は、デュラスに思い入れの無い頃に「ラ・マン」を、私がデュラスに興味を持つようになったキッカケでもある「アガサ」しか見たことが無いのですが、他の作品を見たいという好奇心が刺激されてる状態です。上映されるのを心待ちにしてます。
by ななひつじ (2005-10-03 22:53) 

miyukinatsu

ななひつじさん、今東京日仏学院でデュラスの映画やってますよ。ドミニク・オーヴレイという編集者の特集なのですが、デュラスの映画2本と、オーヴレイ自身が撮ったデュラスのポートレイト一本を上映するようです。まだ間に合います。気付くのが遅くてごめんなさい。リンクはhttp://www.ifjtokyo.or.jp/culture/cinema_j.html
by miyukinatsu (2005-10-09 19:32) 

ななひつじ

教えていただいてありがとうございました。
デュラス作品には日程が合わなくて、残念ながらみることが出来なかったんですけどポートレートは見に行けました。良かったです(^^)
by ななひつじ (2005-10-17 00:04) 

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