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『靖国』上映中止について [ドキュメンタリー]

公開中止が相次いだ『靖国』、大阪の第七芸術劇場、新潟の市民映画館シネ・ウインド、北海道のシネマ・トーラスが上映を決めたということだが、東京ではまだ名乗りを上げる映画館はないようだ。私は今朝の朝日新聞を読んですっかりわけが分からなくなってしまった。「東京・大阪の2館での公開を予定していたエスピーオー(港区)は今月1日、上映中止に至る経緯を説明する文書をホームページに載せた。上映中止を決めた主体は自社ではなく、配給会社のアルゴ・ピクチャーズ(同)だという主張だ。エス社には、3月初めに上映を疑問視する電話が2本あっただけで、そもそも強圧的な中止要請や右翼団体による抗議はいっさいなかったという。一方のアルゴ社は、上映中止を決定したのはエス社側だったとし、意見は食い違う」。
その上映中止に至る経緯を説明する文書はhttp://www.spoinc.jp/company/yasukuni.pdf。昨日の朝日新聞で森達也氏が書いていたように、ほとんど「放送禁止歌」の世界だな、と思う。「放送禁止歌」は本当は誰も禁止なんてしていなかった。「「ここから先は危険」という標識を立てて、その内側にこもることで安心する。標識はそこかしこに立てられ、やがて禁止が独り歩きを始める」。
同じく朝日新聞では、実際に上映に抗議した人たちの談話も載っている。「表現の自由と言われても、許せないものはある。映画館だって、それでいいと思えば断固上映すればいいわけだよ」。そしてこんな風に締めくくられる。「抗議をする自由もあるし、抗議を受け付けない自由もある。言論の自由と思っています」。
監督の談話も載っている。「3月12日の国会議員向け試写会が、転機だったように思う。足並みをそろえたように、劇場側の説明が不明瞭になった。本当に、周囲への迷惑という表向きの理由だけなのか。だれが中止を決めたのかよく見えない」。
そしてこんなものまで見つけてしまった。オーマイニュースの記事「『靖国 YASUKUNI』は映画と呼べるのか」http://www.ohmynews.co.jp/news/20080404/23048。この記事のガックリきちゃうところは、こんな大仰なタイトルをつけておきながら、記者が映画を観ないで書いていること。『靖国』が映画としての体をなしていない根拠も、産経新聞の阿比留氏のブログhttp://abirur.iza.ne.jp/blog/の4月1日のログを参考に書いているらしいのだが、当の阿比留氏も映画を観ているのかどうか今一つはっきりしない(観て書いているとはあまり思いたくない・・)。靖国神社の許可を得て撮影していないとか、メインキャストの一人、日本刀の作り手刈谷直治氏が自分が取材された部分の削除を求めているとか、パンフレットの表紙に使われている自衛官がそのことを一切知らされていなかったとか。
映画好きでない方々っていうのは、面白いドキュメンタリーを観たいとかって、あんまり思わないんだろうか。とにかく映画っていうのは、観ないと、観られないと、話にならない。左も右も関係なく、映画好きだったら、面白いドキュメンタリーを観る機会を潰されてしまったことに対して、怒るべきだ。「右翼がうるさいから、上映すんのやめとこうかな・・」と思われる前に、「映画バカがうるさいから、上映しなきゃ・・」って思われないと。そのために何をすべきか、真剣に考えるいい機会ではないだろうか。
放送禁止歌 (知恵の森文庫)

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  • 作者: 森 達也
  • 出版社/メーカー: 知恵の森
  • 発売日: 2003/06/06
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