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無人島 [書評]

特に引越し好きというわけでもない(そう嫌いでないことも確か)なのだが、引越しの多い人生を送っていて、何よりも楽しいのは、引越した先の図書館に行ってみることだ。当たり前だが、都心に近い図書館は品揃えは素晴らしいものの貸し出し中の本が多かったり、田舎に近い図書館は品揃えはイマイチだが意外と人気のある本でも書架に残っていたり、それぞれの特色を持っている。昨年十数年ぶりに通った母校は、私が学生だった頃はボロい図書館しかなかったのに、総七階建てのいやに立派なものに生まれ変わっていて、ネットは好きに使えるし施設も綺麗で、何よりも映画学科があるだけに映画の蔵書が充実していて、初めて入ったときは「ここで寝泊りしたい」と真剣に思いつめたものだった(・・「海辺のカフカ」ね・・)。
今度の街の図書館はやはり品揃えはイマイチで、特に映画関係の蔵書の少なさには目を覆いたくなるほどで、ただ各国の文学や思想関係は意外と揃っている。魅せられたのはドゥルーズの「無人島」と名づけられた二冊の本で、美しい装丁につられて手に取ったところ、驚くほど重さがなく(単純に軽い)、パラパラとドゥルーズの言語に、思考に入り込んでいくうちに、「うーん、やっぱり無人島に持っていくならこの本かな」などと、無人島で過ごせるであろう贅沢な時間に思いを馳せてしまう。
しかし具体的に無人島に移住することなどを夢想してみると、引越しの度にどうしても捨てられず、自分の腰を痛め、引越屋に嫌な顔をされるダンボール箱10箱以上の蔵書について思いあたり、私の場合どうしても捨てられず船に積み、蔵書もろとも海に沈むのがオチかもしれないなどと思う。ま、それも一興か。
どちらにしてもしばらくは就寝の前の読書の時間が楽しみで帰宅が早くなりそう。

無人島 1953-1968

無人島 1953-1968

  • 作者: ジル・ドゥルーズ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2003/08/26
  • メディア: 単行本


無人島 1969-1974

無人島 1969-1974

  • 作者: ジル・ドゥルーズ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: 単行本


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