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言葉 [エッセイ]

言葉について考えさせられることがあった。敬愛する方からの拙論文への的確なコメント。褒め半分、ケナシ半分位。最初一読した時は、なんか調子がよくウキウキした時だった。ケナシ言葉ばかりが目に入ってきた。「うっわー」、と、自分でもうすうす分かっていたことを指摘される気持ち良いショックを受けた。そして二度目にじっくりと読んだのは、様々なゴタゴタが重なり(しかしゴタゴタというのは何故こうも重なるのだろう。ゴタゴタがゴタゴタを呼ぶのだろうか)、気分がブルーな時だった。今度は褒め言葉ばかりが目に入ってきた。「これって、愛じゃん」みたいな。ジーンときて、元気になった。やっぱり選んでいるんだろう。その時必要な言葉を、自分で。同じ本を二度読んでも感想が違うのは、成長したからじゃなくて、恣意的に選んでるのだとしたら?
もう一つは、私は昔から「文章が上手い」と言われて育ってきた。作文は章を取ったし、友達は私の書くものをみな面白がり、壁新聞を発行した。仏文科時代もテストではなくレポート提出のみの講義は全Aだった。だから有頂天になり、編集の仕事にありついた時は、いい気になって年上の執筆者たちに采配をふるった。なのに会社を辞めてしまったのは、もっと書く時間、書くために勉強する時間が欲しいと思ったからだった。そして時間が経ち、今こんなブログを書いている。
でも、最近はたと気がついた。自分の考えていることを上手く言葉に表せない。上手く人に伝わらない。誤解させて人を傷つけてしまったり、上手く伝わらなくて自分が傷ついたりする。年を重れば重ねるほど、なんだかそんなことが多くなってくる。若い時は何故あんなに水を得た魚のように言葉を操れたんだろう。今の私の言葉には若い時にはなかった何かヘンな重みがある。ヘンな瑕疵がある。へんな場所に行き、ぶつかり、傷だらけになって、血を流している。おかしな子たち。そして、そんな言葉たちを、以前よりナルシスティックに愛せない。今の私は、私の言葉によって、生み出された新たな人の言葉によってのみ、癒される。でもそれはきっと、いい傾向なのだと思う。


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