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東京国際映画祭2006 [映画祭]

いざヒルズに足を踏み入れてみると、人垣ができているところにふらふらと近寄ってしまい、スターたちが悠然と歩くのに見とれてしまう。暗かったしはっきりとわからなかったんだけど、クオン・サンウにすごく似た人を見たんだけど気のせい? 来てない? 願望?
まぁそんな話は置いておいて、今日は中華圏映画の三本立て。レスト・チェンとヤンヤン・マクは二年前の東京国際で『狂放』と『胡蝶』を見ており、タイプやクオリティはある程度わかっているので、コンペティション部門のルー・ユエ監督の『十三の桐』が楽しみ。
まずは台湾の鬼才と呼ばれるレスト・チェン監督の『永遠の夏』。『狂放』は、あまりはっきりとしたストーリーがなかった覚えがあるのだが、今回はこの監督らしい詩情溢れる独特の映像感覚は健在なものの、親友である男子二人(片方はもう片方に恋心を抱いている)と女子一人の三角関係がきちんと描かれていて、好感が持てる。淡い恋や、青春の無垢さやそれ故の残酷さなど、言葉にしてしまうと陳腐なのだが、それを映像で見せきるのはさすが。鳥肌が立ったシーンが六ヶ所くらいあった。やおい好きの女子なら泣いて喜ぶような男同士のシーンも、ストーリー展開の意外性に興奮したし、だからこそラストの煮え切らなさというか中途半端さが残念ではありましたが。まだ25歳なんですね、この監督。将来がとても楽しみです。
次に『十三の桐』。トップシーンからただならぬ緊張感が傑作の予感。少し荒れた高校を舞台に、『永遠の夏』と同世代であるはずなのに、学校でも家庭でも居場所を見つけられず傷つけあってしまう男子女子を描いています。若い彼らの面構えといい、予想を裏切るストーリー展開といい、私はとても面白かったんですが巷のブログ等ではあんまり評判良くないみたいですね。私は「だから中国映画って面白いんだよなー」と結構興奮したんですけどね。この映画については別にもう少し書いてみたいと思っています。ちなみに私が今まで東京国際で観た映画の中で、一番プレスらしい外国人観客が多かったです。ティーチ・インの最中に何語かもわからない言語でベラベラ隣同士で喋るのはやめてほしかったですが。日本での配給はまだ決まってないみたいですが、ぜひ配給してほしいですね。ティーチ・インに参加した主演女優の十七歳のリウ・シンも、「あまりに映画どおりで驚きました・・」という感想が観客から出るほど、個性的で魅力的でした。
最後、ティーチ・インを途中で抜け出し、ヤンヤン・マクの『八月的故事』。これにはやられました。テレビ用の短編を伸ばした一時間の映画だし、正直あんまり期待していなかったんですが、良かったですねー。『胡蝶』でお馴染みのティエン・ユアンもいいんですが、藤岡竜雄も私はスクリーンで見たのは初めてなのですがとても良かったです。そういえばこちらもティエン・ユアンは高校生の役。彼女の制服を直すのが藤岡竜雄で、最後に制服についてのティエン・ユアンのモノローグがあります。テイストとしては『永遠の夏』に近いんだけど、もう少し女性ならではの儚さ、エロスへのこだわりが随所に見受けられ、ああヤンヤン・マクの独壇場だなぁ、となかば降参気味。フラッシュバックともカットバックとも呼びがたいような瞬時の映像を積み重ねていく手法もとても面白く、効果的だと思いました。ティーチ・インは監督、藤岡竜雄、そして映画を見ていて遅れたというティエン・ユアンの三人。三人揃ったところを見ているだけで幸せな気分に。
帰りは六本木六丁目から帰ってみようと思い立ち、近辺をうろうろするものの見つからず、半時間くらい彷徨うはめに。いつもなら時間を無駄にしてしまったと自責の念に駆られるものの、「まいっか」と思えるには青春三部作を観たおかげでしょうか。中華圏の映画の中で、十代を描いた映画に傑作が多い気がするのは、中華圏の映画それ自体の新しさ・可能性の多さを示唆しているような気がするのだけれど。


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