イメージズ/ロバート・アルトマン [北米・南米映画]
アルトマンに特別な思い入れがあるわけでもなく、だからこのPFFの招待作品部門で上映された『イメージズ』を観たのも、テーマに興味があっただけだったのだが、これは本当に観てよかった。以前の日記で、「病んでいない人が病んでいる人を描くほど鼻白むものはない」というようなことを書いたが、「才能がある人を別にして」という一文を、付け加えようと思う。しかしアルトマンに病的なところがなかったのかどうか、実は私は知らない。出版されたばかりの「ロバート・アルトマンわが映画、わが人生」を読むしかないのか。っつーか、この『イメージズ』も、この機会を逃してしまった人に自慢しようかと思っていたのだが、今見たらDVD化されてるんですね。「ロバート・アルトマン BOX」・・『イメージズ』『ボウイ&キーチ』『ストリーマーズ』『ニューヨーカーの青い鳥』・・欲しいかも。
黒沢清監督に別に悪意があるわけでもないのに、以前『ドッペルゲンガー』の悪口をねちねちと書いてしまったのは、昔読んだミステリーの「分身」の怖ろしさが忘れられなかったからだろうけれども、『イメージズ』を観ながらそうそう、これだよね、これ! と満席でなければ膝を叩きたかった。見かけるだけだったり、話ができたちゃったりする、ドッペルゲンガーなんて見て何が面白いのだ。微妙に悪意的な顔つきで、無口に、こちらに向かってこないと!
幻覚と現実の区別のつかなさ、男どもに次から次へと誘惑され翻弄されるヒロインの分けのわからなさ、効果音や音楽の質の高さなど、本当にアルトマンって才能あったんだなぁ・・と痛感。何故近年はああだったんだろうなどと考え始めると、観なければいけない映画が増えるだけなんだけど。
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