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タブロイド/セバスチャン・コルデロ [北米・南米映画]

見逃していたエクアドルの監督の映画をDVDで。この映画は確かGWにヒルズでかかっていて、『グッドナイト&グッドラック』と迷い、結局観なかった覚えがあるのだが、失敗だったと痛感。『グッドナイト&グッドラック』と「報道の正義」という点でテーマがかぶる。しかしより痛切で、胸に突き刺さる。
ボーナストラックのメイキングを見ていて、「映画は戦場だ」というサミュエル・フラー監督の言葉を思い出した。映画を作っている人間が闘っているように、映画を観ている私たちも闘っているだろうか? という疑問を突きつけられる本編であり、メイキングであると思う。
同じくボーナストラックのもう一つのエンディングを観て唖然。どちらにしても救いなんてなかったのだ。この絶望はどこから来るのだろう。闇は確かに存在する。しかし闇を捉えられる映画は稀である。闇に呑み込まれず、映画を映画として成立させるには、強靭な精神力が必要なのだろうな、ということくらいしか私にはわからない。「ラテン・アメリカの・・」などという決まり文句を口走る前に、多くの人に観てほしい。

タブロイド

タブロイド

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: DVD


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ユナイテッド93/ポール・グリーングラス [北米・南米映画]

9.11を描いた映画はこの後もオリバー・ストーン監督の『ワールド・トレード・センター』が公開を控えている。管制塔とハイジャックされた飛行機内の再現ドラマの感があるこの映画は、何よりもめまぐるしい、しかも揺れまくるカメラワークがとにかく印象的。感情移入してしまうとつらくなりそうな臨場感に、いまいち感情移入しきれない自分がいてスクリーンと自分との間が妙に気になったり。
そもそもポール・グリーングラス監督は『ボーン・スプレマシー』だって一作目のダグ・リーマンの『ボーン・アイデンティティー』の方がよっぽどいいと思ったのだ。「演出力」だの「観客に考えさせる力」だので褒めている人もいるようだがさほど新しいことをやっているとも思えない。
キネ旬で樋口尚文氏が書いていた「例えば犯罪の実話に取材した「愛のコリーダ」「少年」「復讐するは我にあり」「ホテル・ルワンダ」「ミュンヘン」は単純な正邪の彼岸に観る者を連れてゆく瞬間があり、人間の解らなさに向けて観る者の思考を開いてゆくところがある。」という文章に激しく共感。結局今村&黒木監督特集で一番良かったのは『復讐するは我にあり』だった。これは一度観ているはずなのに全く初見のごとき強い映画的快楽を感じた。細部の記憶が退屈の原因にはならず、むしろ意味の重層化に役立つような・・(それは言いすぎか)。しかしこの位のことが映画にはできるのだから、とやはり思ってしまう。
次に続く樋口氏の文章、「映画は、その天性の猥雑さで、言論が生来抱えるヒステリックな硬直を解いてゆく立場にあるのでは、と思う。」で少し考え込んでしまう。だとしたら映画について書くことはその猥雑さを逆に硬直させてしまうことなのだろうか。映画について書く時に感じる微妙な苛立ちや罪悪感はそれが原因なのだろうか。しかしそれでもなお、違う何かを求めてキーボードを打ち続けてしまうものなのだと思うのだが。その違う何かとは一体何なのだろう。


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STAY/マーク・フォースター [北米・南米映画]

『バタフライ・エフェクト』も好きだったし私はこういうジクゾーパズルを組み立てていくような謎解きの面白さがメインの映画はわりと好き。でも『マルホランド・ドライブ』やソン・イルゴンの『スパイダー・フォレスト/懺悔』をあまり買わないのは、やはりシナリオライターがラクをし過ぎているような気がしてしまうからだろう。という観点ではこの映画はビミョー。
登場以来目を吸い寄せられてしまったのは自殺願望のある青年ヘンリーを演じたライアン・ゴズリングで、どこかで見たことがあると思っていたら『16歳の合衆国』の主人公を演じていたのだった。あれも複雑でいわくつきの役柄だったが、私は賛否両論に分かれたあの映画がとても好きだったのだ。俳優の才能が出演する作品を選ぶことも含まれるとしたら、たいした才能だと思う。それでなくとも彼以外の役者がヘンリーを演じたとしたらもっと薄っぺらいドラマになっていたのではないか。
謎解き自体は「わからなかった」というほどではないが、私はナオミ・ワッツに関する謎が結構どかんと残ってしまった。おすぎの言うように、「もう一度観ると新たな解釈で観れる」かもしれないな、とは確かに思わせる。「号泣する」かどうかはわからんけど。どちらにしても、お金を払ってももう一度観たい映画など本当に稀なのでそういう意味では新しいかも。映像も美しくスリリングなので初日なのに結構空いていたけど私はお勧めします。でも入り口付近でぴあの取材に掴まっていた人は結構辛い点をつけてたなぁ。やっぱり映画に結末やカタルシスを求める人はあまり納得いかないんでしょうか。

16歳の合衆国

16歳の合衆国

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2005/03/11
  • メディア: DVD


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ミュンヘン/スティーブン・スピルバーグ(2006.03.17) [北米・南米映画]

・・といいつつボーっとしてるとロードショーなぞすぐに終わってしまうので、気になっている作品をぼちぼち観にいくことにする。まずは『ミュンヘン』。事件の記憶も、スピルバーグにも思い入れのない私は、「マチュー・アルマリック出てるし・・」というわけの分からない理由もあったり。しかしこれは文句のつけようのない傑作だった。「スピルバーグらしい思い入れ」があまり感じられなかったり、「スピルバーグらしい落としどころ」に映画が落ちていないと思い、公式サイトを読み、これがスピルバーグに持ち込まれた企画であったことを知る。演出は勿論スピルバーグの貢献だろうが、何よりも、脚本と俳優が素晴らしい。というか、そんな撮影だの演出だの脚本だの言っているのが馬鹿馬鹿しい。全てがコラボレイトして、クオリティの高い、「映画」と呼ぶしかない時間・空間を作り上げている。そうそう、映画の悦楽ってこういうことだよね、と数日は余韻を堪能できそう。
今までフランス男の良心の象徴のような役が多かったマチュー・アルマリックの演じる、情報屋のルイを初めとして、人間を一面的な見方ではなく、なんというか「背中まで描きこむ」ようなことを平然とやっている。なんかこの映画観たらアルマリックって、10年くらいしたら伝説に残るような俳優になるんじゃないかと思っちゃったよ(そんなことは・・どうだろう(笑))。主役の暗殺者のエリック・バナも良き相棒のダニエル・クレイグもルイの父を演じたミシェル・ロンズデイルもすごく良い。女性陣はちと淋しいがなんとヴァレリア・ブルー二・テデスキがチョイ役で出て花を添えている。スピルバーグが鼻が利くというよりは、公式サイトによると世界中のキャスティング担当者に協力を得たそう。何故かその中に日本も入っているのだけど日本からは参加していないが。
冒頭「スピルバーグらしくない・・」とかいろいろ書いたが、そもそも私はスピルバーグの作品で観ているのは『A.I』から『ターミナル』にかけての最近の作品が多く、多分『ミュンヘン』と似た系列であろう『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』を観ていないので、少し一面的な感想かもしれない。しかし映画自体がスピルバーグの意図から離れ疾走していくようなドライブ感があり、それがこの映画を傑作にしているとのではないかということは指摘しておきたい。
戦争映画って苦手なんですよね。苦手とか言っていると大志があって戦争映画を作ってるであろう当のスピルバーグ監督や、戦争映画研究者(いれば)に怒られるかもしれませんが、どうも痛いシーン観てると自分も痛いような気になっちゃって・・。しかしどうなんでしょう。某邦画映画会社勤務の人によると、戦争映画は興行収益という点では結構優秀で、特に男性固定ファンがいるそうです。「戦争反対の意志を固めるために」観に行くのか、「戦争と聞くと血湧き肉踊ってしまう」から行くのか、一度戦争映画ファンに聞いてみたい気がします。
とはいえ、頑張って『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』も観てみようかという気になりました。おススメです。


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幻想のキューバ(2005.08.12) [北米・南米映画]

『ダンシング・ハバナ』が来週いっぱいでロードショーが終了してしまうというので日比谷シャンテに駆けつける。別に私はディエゴ・ルナのファンでもないし(『天国の口、終わりの楽園』ではガエル・ガルシア・ベルナルに目を奪われていたくち)、サルサをやっているというわけでもないのだけど、なんとなくこれは好きそう。
と実はたいした期待もしないで観たのだがこれが期待以上の出来であった。特にディエゴ・ルナが素晴らしい。『天国の口、終わりの楽園』のときもチラッとは思った気がするのだが、この子って実はとっても演技が上手い。ガエルほどの美形ではないのだがそれが逆にガエルより役の幅を広げている気がする。勿論10週間特訓したというダンスも音楽も素晴らしい。当然ながら帰りにサントラを買い、家でも聞いて余韻に浸る。印象に残ったシーンは海でディエゴ・ルナ演じるハビエルがケィティにダンスを教えながら「キューバ・ダンスは奴隷のダンスだ。そこでは誰でもなりたい自分になれる」と言うところ。そうか、キューバ音楽を聴いていると、何故かいつも少し悲しいようなせつないような気分になったのはそういうことだったのかな、などと一人で納得し、キューバの名ジャズ・ピアニスト、チューチョ・ヴァルデスのCDを引っ張りだしてくる。凄いとは思いつつどこかで入りきれない部分が残った彼のプレイが今日はストンと自分のなかに落ちてくるようだ。
映画の中で踊られるダンスはかなりデフォルメされていてどちらかというと現在のキューバ・ダンスに近いものだという。実話をもとにキューバ革命を背景に構築されたこのラブ・ストーリーはアメリカ人のキューバへの夢をよく表しているようだ。どこにも存在しない、映画の中だけのハバナ。そんなものに拘泥するのは馬鹿げているとは思いつつ今からサルサを習い始めてケイティのように踊れるようになるのと、ジャズ・ピアノのレッスンを再開してアフロ・キューバン風に弾けるようになるのとどっちが早いだろうなどと真面目に考えている。


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